2025/05/06
ヨーロッパで出会ったホオノキたち
留学中にスウェーデン、ドイツ、イギリスの植物園で見つけたホオノキ(Magnolia)を紹介します。各国での異なる栽培環境や品種の特徴を飛騨のホオノキと比較しながら観察しました。
遠目からのホオノキ
ヨーロッパ留学中、各国の植物園でホオノキ(Magnolia)を探し続けました。飛騨での朴葉研究を活かし、海外のホオノキの栽培環境や特徴を観察しました。
スウェーデン・ウプサラ植物園での発見
ウプサラ大学の植物園(北緯約60度)は、日本の冷温帯に似た気候で、多くの日本系植物が屋外栽培されています。ここで日本のホオノキ(Magnolia obovata)と同じ種を発見しました。
秋のホオノキ
10月に偶然発見したホオノキ。秋の終わりで葉は枯れ始めていました。
北欧の短い夏を感じさせるやや薄い色のホオノキの葉
ウプサラ大学植物園で出会った貴重なホオノキ
樹齢約15年で、まだ開花には至らない大きさでした。
新緑のホオノキの葉
長い北欧の冬を越え、4月終わりに春が訪れました。
春の日差しに輝く新緑のホオノキの葉
5月18日の様子。
5月28日、10日経ってようやく葉っぱが開いてきた。
北欧でも変わらない、特徴的な大きな葉
ウプサラでの最後の観察。
研究のために観察を続けたホオノキ
北欧の短い夏に合わせて開花時期も日本より遅く、花を見れなかったのが残念でした。大きな葉の特徴は日本と変わらず、感動的でした。
イギリス・キュー王立植物園での国際比較
5月6日、キューガーデンを訪問。25度を超える過ごしやすい陽気でした。
世界最大級の植物研究機関、キュー王立植物園
園内奥の方に植えられた大きなホオノキ
世界最大級の植物研究機関キュー王立植物園でも、奥の方にホオノキが植えられていました。写真撮影には不便な位置でしたが、遠目からでも大きな木であることがわかりました。
遠目からしか観察できなかったが、咲きそうな花が確認できた
5月上旬、遠目から咲き終わりの花がたくさん確認できました。
世界最古で最大級の植物園キューにホオノキが含まれていることに嬉しさを感じました。
ドイツ・ゲッティンゲン植物園での観察
ドイツ中部の大学街ゲッティンゲン。ウプサラと似た中規模の街で、新しい大きな植物園にホオノキが植えられていました。5月下旬の訪問はあいにくのにわか雨模様。
奥の方に植えられたホオノキ
よく見ると、日本のホオノキとは葉の形が異なっていました。
中国原産のホオノキは葉の先端がハート型になる
5月下旬の蕾と先終わりの花。なぜか満開の花だけ見つからず
なんか管理された栽培環境のホオノキ、ぼくの研究ライバルか?
ドイツの研究者による最適な栽培環境づくり
各国での共通点と相違点
3カ国の植物園を巡って気づいたのは、ホオノキの基本的な特徴は共通しているものの、気候や土壌によって微妙な違いが生まれることです。
共通点:
- 大きな葉と白い花
- 春から初夏にかけての開花
相違点:
- 開花時期(緯度によって1-2ヶ月の差)
- 朴葉文化は紹介されておらず
おわりに
ヨーロッパでのホオノキ観察を通じて、飛騨の朴葉文化の独特さを改めて実感しました。世界中の植物園でホオノキは植えられていますが、葉を食品包装に活用する文化は紹介されていませんでした。
今回の経験は、朴葉の知名度が世界的に低いものの、ポテンシャルの高さを感じさせてくれました。
イタリアからスウェーデンへの帰りの飛行機で隣に座った中年女性が、日本の山菜や朴葉文化に興味を持ってくれたのも思い出です。
グローバルな視点で見ることで、地域の文化や自然の価値を再発見できる。それもまた、研究の面白さの一つです。